株式会社HarFor

コラム

Column

チャットボットの作り方 ~基礎知識から実装までを詳しく解説~

チャットボットはその便利さから企業のコーポレートサイトやECサイトなどに設置されるケースが年々増えています。以下ではチャットボットの作り方を順を追って説明しつつ、作成時の注意点やその種類を踏まえて詳しく解説いたします。

1 改めてチャットボットとは

1-1チャットボットの意味

チャットボットとは、テキストや音声を用いて自動的にやりとりを行えるツールです。

事前に設定された指示やAI機能を用いて、質問や要求に迅速に回答します。

チャットは会話、ボットはロボットを意味しています。

企業においては、顧客向けのお問い合わせフォームに実装されることが多いですが、社員数の多い大手企業では出張費の申請方法、落とし物等への対応として社内ヘルプデスクでも活用されています。

1-2 チャットボットの種類

チャットボットの精度についてはAIが搭載されているか否かで大きく2種類に分かれます。

AI搭載型

非搭載型のように運用者側でルールやシナリオを設定するのではなく、応対を繰り返し、随時学習しながら回答の精度を高めていきます。

さらにAI搭載型の中でも2つに分かれます。

① 機械学習型

機械学習とは、AIが大量のデータからルールやパターンを発見する技術のことです。「チャットボットに登録したデータ」や「ユーザーとの会話データ」をAIが学習することで、問い合わせに対して適切な回答を提示できます。ただし、運用を始める前に下記の作業が必要になるので、運用開始までに半年以上かかるケースも珍しくありません。

② RAG型

RAG(Retrieval Augmented Generation)は「検索」と「生成」を組み合わせることで、生成AIチャットボットの精度を大幅に向上させる技術です。

機械学習型はチャットボットが作られる際に入れられた学習データを基に考えて回答を出しており、RAGでは与えられた大量のデータから参照して回答を出しているという違いがあります。

AI非搭載型

ルールベース型とも呼ばれ、あらかじめ設定したルールやシナリオに沿ってやりとりを行います。

さらにAI非搭載型の中でも主に3つに分かれます。

① 選択肢型

選択肢の中からユーザーが当てはまるものを選択し、回答に辿り着く仕組みです。

② 辞書型

「単語」と「その単語に対する回答」を事前に登録しておくことで、そのデータの範囲内での対応が可能になる仕組みです。

③ 選択肢&辞書型

選択肢型と辞書型を組み合わせたものです。

2 チャットボットの設計手順

2-1 目的を明確化する

最初に、チャットボットの導入によって何を解決したいのかを明確にし、導入すること自体が目的にならないようにしましょう。

解決したい課題や実現したい姿によって、シナリオやQ&Aの方向性は大きく変わります。

一般的な導入目的としては、以下のようなものが挙げられます。

・顧客満足度の向上

・CVR(コンバージョン率)の改善

・人件費の削減

・問い合わせ件数(入電数)の削減

・オペレーターの業務負荷の軽減

ユーザー層によって適切なシナリオは異なるため、想定されるユーザーを設定します。誰に向けて作るかを明確にすることで、ユーザーが使いやすいチャットボットを作ることができます。

同じサービスや商品でもターゲットが異なれば文体や回答内容の方向性も変わります。

2-2 構成を決める

導入目的やターゲットがある程度決まったら、チャットボットの中身を作っていきます。

なお、チャットボットの構成には学習されたデータを元に一問一答形式で回答する一問一答型(AI型)とあらかじめ設定したシナリオが分岐して回答するシナリオ型があります。どちらにするかによってこの後の手順が変わる場合もあります。

2-3 Q&Aを作成

方向性が定まったら、質問と回答を作成していきます。設定したターゲットやペルソナが、どのような疑問を持つのか仮説を立てて考えていきます。既存のFAQがあれば、質問や回答に流用できる場合もあります。なお、Q&Aは短文で自然な会話形式になるよう意識するとチャットボットに馴染みやすくなります。

必要な情報を網羅することは大切ですが、長くて読みにくい文章だとユーザーが離脱してしまう恐れがあります。長文になってしまう場合はメッセージを2つに分けたり、画像やリンクをつけたりして工夫すると良いでしょう。まずは、ターゲットに設定したユーザーがどんなことを知りたいと思うか洗い出してみましょう。

回答文は後でも良い為、まずは質問文をたくさん出すことをおすすめします。また、チャットボットは長文は不向きのため短文になるよう意識しつつ作成しましょう。

以下は質問の一例です。

・場所と入館料を教えてください

・〇月〇日に何かイベントはやっていますか

2-4 シナリオ設計

Q&A作成がおおむね終わると、次はシナリオの骨組みを作ります。

フローチャートを活用して1つの質問から複数の選択肢に分岐させていきます。最初は大きなカテゴリーの質問から始めて、最終的にユーザーが求めている情報に辿り着くようにします。

シナリオ設計とはチャットボットを構築していく際の下書きのようなものです。ユーザーにとってストレスのない導線になっているか考えながらより精度を高めていきましょう。

イメージとしては大分類から中分類、小分類へとシナリオが進む形で作成します。

まずはQ&Aをカテゴリごとに分ける(アクセス、料金、イベントなど)ことから始めてみましょう。

また、シナリオ型で設計されている他のチャットボットを実際に触り、自社のチャットボットではどのように動かしたいかイメージをすると良いでしょう。

2-5 ツール登録

Q&A作成、シナリオ設計までの大枠が完成したらチャットボットツールへ登録・設定を行います。

また、以下のような作業もすすめていきます。

・チャットボットのアイコン設定、デザイン設定(背景色など)

・回答ができなかった場合のメッセージ設定

・回答率等フィードバック機能の設定

・AIへの学習

ほかにも有人チャットを利用する場合は営業時間などの設定、外部システム連携をする場合は連携先との設定なども行う必要があります。

2-6 AIへの学習

シナリオ型、一問一答型においては、AIがより正しい回答を導くための学習に「教師データ」を使います。「教師データ」とは「例題」と「正解」がペアになっているものを指します。また、RAG型では、例題と回答を分ける必要はなく照用のデータを学習させます。

2-7 テスト運用

最後に複数人がテストユーザーとなり、作成したチャットボットの動作確認をします。テスト運用では、主に以下の観点を確認していきます。

・選択肢の文言は自然か

・Q&Aは不足していないか

・専門用語を使っていないか=分かりやすい説明になっているか

・分岐は適切に動作するか

・全体的にターゲットに合った内容になっているか

・設定内容が正しく動作しているか

3 作成時の注意点

チャットボットは一度作成すると終わりではありません。運用状況を確認し、より導入効果が高くなるように調整が必要です。

たとえば、回答できなかった質問があれば、次からは回答できるようにデータを追加をしたり、利用者の満足度が低かった回答があれば内容を改善したり、登録しているQ&Aの情報に変更があったら更新したりします。また、回答の精度が高くなるようにAIへのトレーニングを含め調整することも必要です。

常に改良の姿勢を持ち、ユーザーにとっての有用性を高めていくことが大切です。

以下のような作業を運用開始直後は週に1回、2か月ほど経過したら月に1回程度の頻度でおこなっていきます。

・利用率や回答率のチェック

・ 正答率が低いQ&Aチェック

・ Q&Aの参照数をチェック

・ Q&A、シナリオ設計のブラッシュアップ

まとめ

チャットボットを導入することで回答が画一的な問い合わせには24時間対応でき、業務効率化が可能です。応対品質を統一させ、時期や時間帯に左右されないことで半永久的な顧客満足度の向上につながります。

しかし、一方で定期的な質問の更新等メンテナンス業務が必要です。また、質問によっては有人対応した方がよい場合もあります。

株式会社HarForではAIチャットボット導入に必要な学習データの作成から導入・運用、必要に応じた有人チャット対応まで一貫した支援を行っております。

ぜひこちらよりお気軽にお問い合わせくださいませ。

【あわせて読みたい】

チャットボット作成時に便利な生成AIについての記事はこちら

HarForのデジタルマーケティングお役立ち情報ダウンロードはこちらから