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つながりが生み出す、高知の未来 – 教育と地域活性化 –

~HarFor Breaking Interview#11 高知大学 宝金実央さん~

 

 HarForがオフィスを構える高知で、解決できる課題、実現できる未来は一体なんなのか。高知を一緒に盛り上げていく素敵な方々からお話を伺うインタビューシリーズ、「HarFor Breaking Interview」。HarForが大切にする「つながり」をテーマに、ゲストのご縁を繋げていくリレー企画です。

 

 第十回のゲスト、合同会社きみのたねこうぼう の 澤田朱夏さんが繋いでくれた十一回目のゲストは、高知大学 宝金実央さんです!よろしくお願いいたします。

 

(宝金さん)ーよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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~プロフィール~
高知大学の宝金 実央 (ほうきん まお) さん。
北海道出身で、高知大学で養殖魚の健康管理について研究しながら、
地域活動を通じて、学生、地域住民、企業を繋ぎ、高知で地域活動を行っている。
※これらの活動は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の支援のもと実施している。

 

北海道から高知へ、そして研究から地域活動へ


(HarFor窪川)宝金さんの出身は高知ですか?

 

(宝金さん)いえ、出身は北海道で、大学進学のタイミングで高知に来ました。

 

(HarFor窪川)そうだったんですね!高知の大学に進学を決めたきっかけはありますか?

 

(宝金さん)元々医学に興味があって、自分が好きな魚の病気について研究しようと思ったんです。
そこで色々と調べているうちに、魚の病理学を専門としている大島先生を知り、大島先生のいる高知大学に進学しました。

 

(HarFor窪川)魚の病理学を専門に研究している中で、地域活動にも目を向けられたのはなぜでしょうか?

 

(宝金さん)大学生になってからは、ずっと研究一筋という感じだったのですが、大島先生が携わっている「希望創発研究会」というプロジェクトに参加してみたんです。
そこで子どもたちや、たくさんの人と関わっていく中で、高知の未来や、子どもたちの未来について考えるようになりました。
そこから何か地域貢献できないかということで、サマーセミナーや養殖キャラバンを始めた感じですね。

 


▲精力的な活動を話してくださる宝金さん

 

(HarFor窪川)希望創発研究会とは具体的にどのような活動なのでしょうか?

 

(宝金さん)高知大学希望創発センターが主催している活動で、高知県内外の企業の方と高知大学の学生がチームを組み、
生活者の視点で高知県や社会のあるべき姿について意見を交換したりする活動
です。
これは5月から3月の約1年間行われるプロジェクトで、3月には最終報告会をします。

色々な活動を行うのですが、どれも「三現主義」という現場・現物・現実の3つの「現」を直接確認することを大切にして取り組んでいます
そのため、外での活動も多いです。例えば、街を歩いて意見交換する活動があるのですが、自分たちが当たり前のように歩いていた通学路を、
いつもとは違った目線で景色や出来事を見ていきます。いろんなところに目を向けると、意外と新しい発見があって面白いですよ!
他にも街ですれ違った人にインタビューをして、どんどんコミュニケーションを取ったり、チームの中だけでなく、地域の方たちの意見も聞くことができるので色んな考え方を吸収できます!

 

(HarFor窪川)参加されている方々の反応はどうですか?

 

(宝金さん)日常の当たり前を見つめ直して深く掘り下げるような哲学的な思考を大事にしているので、1年で絶対何かが生まれるのかと言われるとそうじゃないかもしれないです。
だけど会社の中だけではできないようなプロセスが、考え方を変えるきっかけになることもあります。

社会人と大学生が、対等な立場で意見交換をしながら物事を考えていくと、社会人の方々が出した「それやって稼げるの?」という意見に対して、
学生は「なんで稼ぐ必要あるんですか?」みたいな素朴な疑問を社会人の方に投げたりするんです。
それが社会人の皆さんは結構衝撃的で、久しぶりの感覚というか。「あれ?何のために稼いでるんだっけ?」って社会人の方もその疑問について深く考えていきます。
そうすることで新しい気づきが生まれたりします。

参加者の中には、自分を見つめ直すと言って海外に移住した方もいました。

 


▲希望創発研究会の様子
世代を超えた対話と新たな価値を生み出している

 

 

地域と子どもたちの可能性を拓くサマーセミナー


(HarFor窪川)研究会での活動を通じて始めたという「サマーセミナー」ですが、具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?

 

(宝金さん)サマーセミナーは、毎年夏に行っている「誰でもセンセイ、誰でもセイト」が合言葉のイベントです。
自分の好きなことや気になること、得意なことなど自由なテーマでだれでもセンセイとして授業ができ、その授業を自由にセイトとして聞くことができます。
朝礼や帰りの会、給食、掃除の時間などもあり、本当に学校に通っているみたいに感じられるイベントです。

 

(HarFor窪川)たくさんの地域活動がある中で「サマーセミナー」を開催しようと思った理由はありますか?

 

(宝金さん)僕は学生時代、塾でバイトをしていたのですが、その中で子どもたちとコミュニケーションをとるうちに県外に目を向けている子が多いなと感じました。
今はSNSで色んな情報が知れるので、都会の良さとか面白さみたいな情報はすごくキャッチしているんですが、高知の面白さにはあまり触れられていないんです。
僕もこの研究会を通じて、高知県内の良さや面白さに気づいたので、知るきっかけが少ないのかもと思いました。
それで、高知の面白さや地域の人たちと子どもたちを繋げられるようなイベントや場を作りたいと思ったんです。
面白さを知らないまま県外に行くのは、もったいない気がするので。

その時丁度、希望創発研究会に参加されてた方からサマーセミナーの話を聞き、これだ!と思って室戸市でサマーセミナーを開催しました。

 

(HarFor窪川)室戸市での活動から始まったんですね!

 

(宝金さん)サマーセミナー開催の話があった時に、当時の室戸市長と、医師不足について話してたんです。そこで、地域の人たちがちゃんと考えて、
自治を立ち上げていくことが大事なのではないかという意見が出ました。


今すぐにっていうのは難しいかもしれないですが、室戸で育った子が医者になって、室戸で開業したいという思いで帰ってきてくれるかもしれない、
でも自分の街のことも知らない状況だと、戻りたいという感情も生まれないと思います。
そのためにまずは市を醸成していこうというところで、サマーセミナーをやろうという話になりました。
そこから実行委員会を室戸市役所の方々と一緒に立ち上げて、実行委員会の方と一緒に2023年2月に室戸岬公民館で小さく始めました。
2023年8月には室戸高校で本番となるサマーセミナーを開催しています。

開催後に、実行委員会の中で「1年に1回だけでは、イベント自体なかなか地域に馴染まないのではないか」という意見が出たので、出張サマーセミナーという形で、他の地域での実施もしました!


▲佐喜浜地区での出張サマーセミナーのようす
和気あいあいとした空気感で授業が進む

 

(HarFor窪川)サマーセミナーの活動を通して印象的なエピソードはありますか?

 

(宝金さん)開催当初のエピソードで忘れられないのが、帰りの会で、セイトとして参加してくれたおばあちゃんが泣いていたことです。
なんで泣いてるのか聞いたら、「高校生と喋ったことが嬉しかった」と言っていました。
小さい町だけど、普段は高校生と会うことも、話すこともないと言っていたのを聞いて、サマーセミナーでセンセイとセイト以上の関係性ができているんだなと、気づかされました。

レジのバイトをしている高校生が、サマーセミナーに参加した方に「会えて嬉しかった」と声をかけられたみたいな話も聞くので、
サマーセミナーを通して若者と地域の人との自発的な交流も進んでいると思います。

 

(HarFor窪川)それは印象的な出来事ですね。貴重な声を聞ける機会にもなっているんですね。

 

(宝金さん)イベント以外のところでも印象的なことがあって、室戸市でぶらぶら歩いていた時に、バス停に座っていたおばあちゃんに声をかけたことがあったんです。


そのお話の中で衝撃を受けたことがありまして、室戸市って人口がどんどん減ってるんですが、おばあちゃんたちは「何も気にしてない。昔に戻っただけだ」って言ってたんですよ。
昔、室戸市のマグロ漁とかクジラ漁が話題になった時、県外から漁をする人がたくさん来て一気に人口が増えて、3、4万人くらいになったんです。

ですが今、クジラやマグロが取れなくなったり、地震の影響で大きい船が入らなくなったからか、どんどん漁師が少なくなって人口が減ってるんですけど、
そのおばあちゃんたちにとっては、人口が増える前の室戸市に戻っただけという感覚なんです。

僕はそこに感動して、学生にとっては、働き口がないと高知市とか県外に行きたくなる気持ちはあるとは思いますが、それだけじゃない意見がそこにはあるんだなっていうのに気づかされましたね。

 

(HarFor窪川)当たり前がどんどん当たり前じゃなくなっていくのが面白いですね!サマーセミナーで学生さんと関わっていく中で、宝金さんが大切にしていることはありますか。

 

(宝金さん)僕だけがやるんじゃなくて、ここに関わっている人たちみんなで作るっていう気持ちを大事にしています
あとは小さく始めるということ。大きく始めると精神的にも、体力的にもしんどくなるので。

高知の良さっていうのは、人と人の距離が近いことだと思っているので、距離が近いからこそ小さく始めて少しずつ関係者を増やしながらやることが大事かなと思います。

最初は2コマから始めたサマーセミナーですが、今では40コマ~50コマの規模になりました。
今年は8月29日に開催でまだセンセイの募集はかけてないんですけど、もうセンセイやりたいっていうの話も聞いたので、小さく始めて続けていくことが大切なんだと思います。

 

(HarFor窪川)すごい!みんなサマセミの開催にワクワクしているんですね!

 

(宝金さん)小学生も話したいと言ってくれて直近の開催も、3コマが小学生なんです。
すごく面白いですよ。釣りのゲームの授業をした子がいたのですが、ゲーム機をモニターにつないで、おばあちゃんと対決してました。

自分の興味のあることとか、関心のあることをセンセイとして好きなことを話していいし、互いに楽しく学び合うっていう事をこのサマーセミナーで一番大事にしています。

なんでもありです。おばあちゃんが必死になってゲームしていたりする姿を見ると他の人たちも楽しいなと思うし、
おばあちゃんたちも、これだけ人前で喋れる小学生がいるなら今後の室戸も大丈夫だなっていう安心感があると思います。
どんどん街のみなさんが主体になって、このサマーセミナーを盛り上げてくれていますね。

 

(HarFor窪川)完成させた状態じゃなくても、今自分が伝えてみたいことや喋ってみたいことを発信できる場所があるのは挑戦しやすいですよね。

 

(宝金さん)自分の中で大切にしていることをまず話してほしいっていうのと、一方的な授業ではなくてセイトの皆さんとのコミュニケーションを大切にしてほしいっていうのは最初に言ってます。
他の人たちとどう関わるかとかっていうところを大事にはしてますね。
センセイをした人は、みんな自信がついて帰るんです。みんな楽しく聞いてくれたって。
自分がやってることが正しかったとか間違っているかというよりも、他の人に受け入れてもらえたという安心感が大きいみたいです。

 

(HarFor窪川)話してる途中で喋れなくなったり、途中で終わってしまう授業はあったりしますか?

 

(宝金さん)ありますよ。1コマ40分なのに10分で終わっちゃう授業もあります。
でもサマーセミナーに来ている方々はセイトも一緒になってみんなで授業を作るって気持ちで来てくれてる人が多いので、
10分で授業が終わっても40分になるんです。残りの30分は「なんでこれ始めたんですか」とかみんなが質問するんです。
生徒から質問を投げかけられるとセンセイもそれでどんどん喋れるようになって、気付けば終了時間になったりします。もちろん早めに終わっても大丈夫ですよ。

 


▲2025年室戸高校でのサマーセミナーの様子
学生がセンセイとなり、伝えたいことを話す

命の学びを育む養殖キャラバン 生きた教材が示す学びの意義


(HarFor窪川)サマーセミナーの他にも行っている、養殖キャラバンとはどのような活動ですか?

 

(宝金さん)養殖キャラバンは、学校に水槽と魚を持ち込んで、 生徒が2週間〜1ヶ月の間クラスのみんなで飼育して成長を見守り、最後は育てた魚を食べる、という活動です。

これは世間の漁業に対するマイナスイメージを変えたいという思いから始めました
以前、漁業に対してどんなイメージがあるのか全国で500人程度にアンケートを取ったんです。
そしたら漁業って、臭いとか、男性社会とか、船が出たら帰ってこないとか、結構マイナスなイメージが多かったんです。そこで考えたのがこの企画ですね。

最初は商店街で移動水族館をやらせてもらったんです。商店街で生きてるブリとか真鯛を並べて水族館みたいに見せて、最後には実際に食べるっていうような、
見せるだけじゃなくて、食べて美味しいと感じてもらうところまで、一連の流れをやらせてもらいました。

この経験を単発的ではなく、身近な経験として子どもたちにも提供したいと思い幼稚園や小学校から高校、特別支援学校まで幅広く開催しました。

 


▲移動水族館の様子
珍しいヒラメの稚魚に大人も興味津々

 

(HarFor窪川)子どもたちの反応はいかがですか?

 

(宝金さん)子どもたちの反応は様々でした。真鯛を大きくしたい一心で餌をあげすぎて、死んでしまったクラスもありました。
でも、そういう経験を通じて、どうすれば生き物を生かし続けられるかを一人一人が考えて、クラス全体で話し合いました。

僕はヒントは出しますが、答えは言わないです。
例えば、真鯛はストレスを感じるとシマシマ模様になるんですが、「シマシマになったらストレスを感じている状態だよ。魚にとってのストレスって何だろうね。」と問いかけたりしています。
そうすると、「魚にとって足音はうるさいかもしれないから、水槽の周りを歩くときは静かに歩こう。」という案が出て、自分たちで「静かに歩く」というポスターを作ったりしてました。

 

 
▲小学生が自分たちで工夫して改善している

 

(宝金さん)あと驚いたのは、不登校だった子が真鯛の世話をするために学校に来るようになりました。
自分たちが育てなければ生きていけない生き物がいると、自分が育てなきゃという気持ちになったんじゃないかなと思います。
魚を育てている期間は廊下で騒いだりする子もいないらしいんですよ。

正しいかどうかわからないですけど、自分たちが親になった気分で、
普段育てられているという気持ちを今度は真鯛に還元してるんじゃないかなと思います。

 


▲養殖の稚魚搬入の様子
自分たちでエサをあげて育てる

つながりから生まれる高知の魅力と未来への展望


(HarFor窪川)宝金さんにとって、高知の魅力とは何でしょうか?

 

(宝金さん)そうですね、高知の魅力は豊かな自然と、人と人の距離が近いことですかね。
一般的には人口減少とか、働く場所がないっていうのは問題とされてますけど、人が少ないということは、色んな人が濃く深く関われるということなので、
もっと可能性を広げることができるんじゃないかなと思ってますね。

 

(HarFor窪川)今後の活動の展望についてお聞かせください。

 

(宝金さん)サマーセミナーも、今後は国立室戸青少年自然の家を活用して、教室の外で授業を行ったり、高知の豊かな自然を活かした新しい形を考えてます。

例えば、川の中に机と椅子を並べて足が川に浸かっているような環境で授業をするみたいな、高知ならではのことをしてみたいです。
あと高知市でもサマーセミナーを開催したいです。今は全国各地でもサマーセミナーの活動を広げてるので、
全国で興味を持ってくださる地域があれば、ぜひ一緒に活動していきたいと考えています。

 

(HarFor窪川)今後のご活躍も楽しみです!最後に、読んでいる方へのメッセージをお願いします。

 

(宝金さん)現代社会は、属性や資格にとらわれ、資格がないと価値がないように感じている人が多いように感じます。

でも属性にとらわれず、いろんな人と対話したり、いろんな人と関係性を作ったりすることで、各個人が少しでも自分の力になりそうなものとか、
楽しかったなっていう経験をどんどん積み重ねていくことで新しい意味や価値が生まれていくと思っています。
そうやって繋がりを増やして、実りのある人生にしてほしいです。

 


▲サマーセミナーの参加者は毎年増えている

 

宝金さん、取材へのご協力本当にありがとうございました!

 

今回の取材内容以外にも、色んなお話をお伺いしました。そちらの楽しい取材の様子も、番外編としてHarForの公式Xで順次公開しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

次回、宝金さんはどんなゲストにバトンを渡してくれるのでしょうか。お楽しみに!

 

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(インタビュー:HarFor窪川・笹村)