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自分の好きを選択する - 高知で作り上げるライフキャリア-

~HarFor Breaking Interview#10 合同会社きみのたねこうぼう 澤田朱夏さん~

 

 HarForがオフィスを構える高知で、解決できる課題、実現できる未来は一体なんなのか。高知を一緒に盛り上げていく素敵な方々からお話を伺うインタビューシリーズ、「HarFor Breaking Interview」。HarForが大切にする「つながり」をテーマに、ゲストのご縁を繋げていくリレー企画です。

 

 第九回のゲスト、井上建築の井上将太さん、有加さんご夫婦が繋いでくれた十回目のゲストは、合同会社きみのたねこうぼう澤田朱夏さんです!よろしくお願いいたします。

 

(澤田さん)ーよろしくお願いいたします!

 

 

 

 

~プロフィール~
高知県高知市出身の澤田朱夏さん。
幼少期の経験をきっかけに学生を続けながら会社を立ち上げ、
子どもたちの居場所づくりに励んでいる。

 

幼少期の経験から、活動を決意


(HarFor笹村)ちなみに澤田さんの下のお名前の読み方は?

 

(澤田さん)朱色の夏って書いて、しゅかです。最近、キラキラネームですか?って聞かれますが、実は季語で夏の夕焼けのことを朱夏って言うんです。

 

(HarFor笹村)素敵なお名前ですね!では改めまして朱夏さんの今までの経歴について教えてください!

 

(澤田さん)「きみのたねこうぼう」はもともとは学生団体だったんです。学生団体自体は2023年の7月から設立していて、事業拡大をする上で法人化しました。それが2025年の5月です。

 

▲「きみのたねこうぼう」公式ホームページ

 

(HarFor笹村)法人化されたのは最近なんですね!

 

(澤田さん)そうなんです。少し遡りますが、学生団体として活動するきっかけは私の家庭環境にありました。私の母は私が3歳になる前に病気の発症と同時期に妹を妊娠していることが分かったんです。 その間、仕事のことで父も精神的に追い込まれてしまい、人格形成の上で大切といわれている5歳までの時期が私にとって空白というか、経済的にも精神的にも貧困状態の家庭でした。
それから何年かたった後、妹が不登校になり、私自身は親を困らせるようなことはタブーというか、いい子でいなきゃいけない気がして、本来の自分はあまり必要とされていないように感じていました。そこでどうやったら必要とされるのかなって思ったときに、今まで関わりのない社会に貢献したらいいんじゃないかと思い、物作りができる高知工業高等専門学校に入りました。

 

(HarFor笹村)そういった経緯があったんですね。

 

(澤田さん)ですが、入学後に物作りは向いていないかもと思いました。その時に、学校で子どもたちに物作りを教える体験があって、いろんなご家庭を見ました。そこで、どんな環境下にいる子どもたちにも平等に体験や経験を提供したいと思いました。
始めは個人のInstagramで自分の思いとか、それを実現するためにはこういう仲間が欲しいとかを書いて、それをきっかけに集まったメンバー5人ぐらいで学生団体を立ち上げました。長くなったけど、伝わりましたかね…(笑)

 

(HarFor笹村)大丈夫です。とても伝わっていますよ。

 

(澤田さん)学生団体の時は高知大学、高知工科大学、高知県立大学の3校と高知工業高等専門学校の学生最大25人ぐらいで活動していましたが、学生団体のままだと活動に制約が多く、目的を達成するのが難しく感じていました。
そんな中で、自分たちの目標ってなんだろうって考えた時に、その子一人ひとりの人生にもう少し寄り添った居場所を提供することだと思ったんです。
それを実現するために、会社を立ち上げようと思いました。そこで少しでも金額を抑えたいというところで合同会社にした感じです。

 

(HarFor笹村)その他の大学とはどのようにして繋がりましたか?

 

(澤田さん)学生団体時代も室戸から伊野まで幅広い範囲で活動してたので、 そこで出会うこともあったり、あとは高知市さんがやっている「こうちこどもファンド」という高校生以下の団体で最大 3年間まで補助金を受けられる制度があって、その制度を受けてる他の団体とコラボ させてもらうこともあったりしたのでそこで出会いました。
あとは途中で取材が増えて、それで知っていただき直接連絡をくれる方もいました。

 


▲他大学の学生と交流している様子

(HarFor笹村)こうして繋がった方たちと具体的にはどんな活動をされてますか?

 

(澤田さん)子どもたちの居場所づくりとして駄菓子屋の運営やイベント、ワークショップの代行などです。あと、今年から塾も開く予定です!
ワークショップは工作系の実験要素が高いものをやっていてそれをパッケージとして、材料費込みでいくらみたいな感じです。団体のメンバーは化学を専攻している方たちが多いので、 水と油が混ざらない性質を利用したオブジェクトとか、簡単に作れて見て楽しめるものを行っています!その他にも小中学生向けの教材作りもやっています。

 

 

自己理解で、新しい選択肢を増やす


(HarFor笹村)幅広く活動されてますね!ちなみにその教材というのはどういったものでしょうか?

 

(澤田さん)自己理解ができるキャリア教材です!実証実験で高知市さんと一緒にやってるんですが、 今は働き方がたくさんあって働きたい企業に所属してもいいし、起業もできるし、個人事業主で働くこともできます。
与えられた選択肢の中からどれを選ぶかというよりは、自分のやりたいことや価値観を知って自分の人生をどうしていくかが大切だと思うんです。社会も時代の流れに沿ってワークキャリアからライフキャリアが重要視されるようになってきているのに、教材がそこに合っていない。だから教材を作れたら面白いなと思って作っています。課題はいっぱいですけど…。

 

(HarFor笹村)選択肢を増やしていくための教材ですね!今後それはどういった形で活用される想定でしょうか?

 

(澤田さん)来年度から各家庭、特に不登校の子がいる家庭に冊子教材として使ってもらいたいと思っています。実は、今の小中学生の不登校者数って35万人なんです。スマホの普及で疑似体験という、本当はやったことないんだけど知っているという情報が多いので、 他の人にはできているのに自分はできないみたいな感覚になってしまうことが多いです。

そういった気持ちから一歩踏み出せるためのワークでもあるので、不登校の方たちに使ってもらいたいと思っています。
QRコードをつけて説明動画が見られるようにしたいんですが、どうやったら説明が分かりやすいかというのを実証実験で行っているので、来年までに詰めていけたらいいなと思っています!

 

(HarFor笹村)それは是非作ってほしいです!これは保護者の方と一緒に使う教材ですか?

 

(澤田さん)子どもだけでできる教材です。 どうしても保護者の方と行うと評価軸で考えてしまう子が多いんですよ。子どもたちはお母さんの言いたいことや、やってほしいことがなんとなく分かるんです。それに沿ったいい子になろうとするので、鍵付きの冊子で子どもたちしか見れない状況で使ってもらえるものを考えています。

 

(HarFor笹村)こういった現在高知県内で行っている活動を今後県外で行うことは考えたりしますか?

 

(澤田さん)私は高知生まれなので、高知にすごく思い入れがあるんですよね。 会社を立ち上げる前に家出をしていた時期があって、その時に室戸に行ってたんですよ。 室戸の子ども食堂で働いている皆から愛情をたくさんもらいました。その経験が今に活きているのもあって、高知に恩返しするという意味で高知を中心にこれからも活動はしたいです。でも子どものことで困っているのは高知県だけではないので、拠点は高知だけど県外進出もしていきたいです。

 

▲室戸で活動する様子

 

 

過去の自分と向き合う


(HarFor笹村)現在行っている、人のためを思う活動というのは、 自分の過去や気持ちの整理をしないとできないのではないかと個人的に思います。その気持ちの整理みたいなところは何かされましたか?

 

(澤田さん)私は衣食住がギリギリ整っているぐらいのところで生活をしていて家庭では自分は必要のない存在だと感じていました。なので学生団体を立ち上げたときは、誰かのためにというより、 自分という存在を認められたいというような気持ちがありましたね。
当時を振り返ると承認欲求だったんですよね。逆にそれもあって、事業の拡大が早かったのですが、 どこまでやっても本来の解決に至ってない感じがしていました。活動を始めて1年半ぐらい経った頃にマズローの欲求段階説に出会い、自分ってどういう思考で今何やってるんだっけみたいな自己理解を深めていき、本当に人のためにと思い始めたのは、会社を立ち上げる半年前ぐらいですね。

 

▲たくさんお話をしてくださる澤田さん

 

(HarFor笹村)自己理解ができていることは、すごいことだと思います。

 

(澤田さん)あとは私の母が入院から帰ってきた後はずっと私と向き合ってくれて、それで喧嘩したこともあったんですが…(笑)
お互いの気持ちや、子育てで大変だったことを一緒に話して、 お互いのモヤモヤを解消していく作業をしてます。
それで自分が育てられる側だったから分からなかったことも、 駄菓子屋に来る親子を見た時に、 お母さんから聞いた話と繋がる部分があって、それを家に持ち帰って、お母さんに「こういう感じだった?」と聞いたりしてます。こういうのも自己理解に繋がってます。

 

活動を通して学び続ける


(HarFor笹村)現在一緒に働いている従業員は何人ほどいらっしゃいますか。

 

(澤田さん)会社として役員登録しているのは私1人だけです。私にとってはこの活動が私の思いそのものだけど、大半のメンバーにとっては人生の過程なんですよね。役員登録をしてしまうと一生ついていかないといけないという書面上の印になってしまうと思いそういった形をとっています。
活動を一緒にしている人数で言うと、役員登録はしていないけど活動を行う上で主体的な声が聞ける中心メンバーは4人で、その他に学生ボランティアが10人います。

 

(HarFor笹村) 素敵な配慮ですね。配慮をしていてもたくさんの人たちと活動をしていくことは大変だと思います。活動の中で大変だったことはありますか。

 

(澤田さん)いろいろあったんですが、 以前スライムを作る体験学習を行った時に、 ホウ砂という材料を使ったんですが、それを間違えてホウ酸と言ってしまったことがありました。ホウ酸は殺虫剤の原料にもなっている毒性があるものなんですけど、言ってしまった時に「これ大丈夫なんですか」とお問い合わせいただいたことがありました。それで一度反省文を書いて投稿したことがあって、 その時はすごく心が折れましたね…。自分のミスが団体の印象に大きく響いたりして、今でも忘れられないエピソードです。

 

▲スライムを使ったワークショップの様子

 

(HarFor笹村)団体で活動しているとそういったこともありますよね…。では、逆に心に残った嬉しいエピソードはありますか?

 

(澤田さん)一番は決められないですが、その中でも一緒に活動してくれている相方がいることがありがたいというか、幸せです。その人たちとは喋らなくても意思が通じ合っていて、そんな仲間に出会えて活動出来ていることが、幸せだなと思います。
他には、活動していく中で人との繋がりを感じられることですね。駄菓子屋を運営していると、私のことを店員さんとか、朱夏ちゃんとか、先生とか、 みんなそれぞれの呼び方で呼んでくれて、それぞれのいろんな話をしてくれるんです。みんなとそういった関係性ができているのが嬉しいです。
嬉しいことが点で記憶に残っているというよりは、日々過ごしている時間が幸せって感じますね。

 

▲「きみのたねこうぼう」が運営している駄菓子屋

 

(HarFor笹村)高知でこの活動を行う上での良いなと思うことや不便なことはありますか。

 

(澤田さん)皆おせっかいなのが良いです!駄菓子屋ができた時に大家さんが花を持ってきてくれたことがあって、嬉しかったな~。 あと私が初めてワークショップをやった時にチラシを作ったり集客するのが一番大変なのですが、その大変な部分を全部やってくれた方がいました。自分はいいとこだけやらせてもらって、当時は自分すごいみたいに思っていたけど、今思うと活躍させてもらったなって思います。
不便なことは高知は横に長い県なので、一人ひとりに会うことができないのが残念ですね。

 

(HarFor笹村)高知はみんな家族のように接してくれますよね!ちなみに、より多くの人と会うための取り組みは何かされていますか?

 

(澤田さん)直結はしていないかもですが、デジタルを活用して数字的なところの効率化はしています。例えば、塾の勤怠管理は公式LINEでやっています。 公式LINEに私が子どもたちの名前と来た時間を送信すると、利用時間が計算されて保護者の方が金額が分かるようになっています。

 

(HarFor笹村)事務作業を効率化することで、子どもたちと関わる時間に回すことができているんですね!こういったデジタルを取り入れた働き方についてどう思いますか?

 

(澤田さん)すごくいいと思います!私たちみたいな小規模な会社はデジタル化していくのも時間やコストがかかったりするので、自分たちができる範囲で取り入れていきたいと思っています。
教育の中で子どもたちと接するアナログなところは変えずに、数字的なところはデジタルに置き換えていけたらいいなと思います。

 

自分の好きを選択できる未来へ


(HarFor笹村)今後子どもたちの学ぶ場がどういう風になってほしいというイメージはありますか?

 

(澤田さん)これは社内のミッションにもなっていることなのですが、どんな環境にいる子どもたちでも、全ての子どもが好きとやりたいを伸ばせる教育環境になってほしいと思います。そのためにできることを全てやります!

 

(HarFor笹村)色々な人にとって大事な環境だなと思います。選択肢が増えたら、もっと学びやすい環境になりますよね。

 

(澤田さん)学校でも、仕事でもみんなの好きと、やりたいを伸ばせたらいいなと思います。やりたいこと、好きなことを表現するのは自由なので。なんとなくワクワクすることってあるじゃないですか。今日はパン屋さん寄って帰ろうみたいな。そういう気持ちで色んなことができたらいいなって思います。

 

▲家庭と学校以外の居場所になっている

 

(HarFor笹村)朱夏さんが今後挑戦していきたいことはありますか?

 

(澤田さん)定年退職するまでに教材を作りたいです。自分が人生で関われる人には限界があるので、会わない人でも間接的に人生やりたいこととか好きが見つかったって思えるような教材だったり、発信をしたいなと思います。
その半面、子どもたちが好きなことを見つけないと生きていけないのかなって思ってしまうのは嫌だなと思うので、日々葛藤はありますが…。

 

(HarFor笹村)そういう選択肢が増えたら、それを選択できる子たちが増えてくるので、是非作ってほしいです!色々配慮されている朱夏さんですが、子どもたちとの関わり方で大事にされてることはありますか。

 

(澤田さん)私は大人ではないので、同じ立場で関わることを心がけています。一人間として敬語で話していて、子ども扱いはしないと決めてます。喧嘩をしていても私には分からない当人同士の考えがあると思うので見守るだけにしています。
ですが、それが保護者にとっていいこととは限らないのでお互いに納得できるラインをどう見つけていくかというのは、日々葛藤しているところです。

 

(HarFor笹村)子どもたちや子どもたちと関わる方々への思いなどありますか。

 

(澤田さん)自分のやりたいことや好きだなと思うことは、論理的な理由はなくていいから 直感で動いてほしいと思います。理由は後付けでいくらでも付けられるし、感情が大事な時もあると思います。あとは、自分はあまり得意じゃないと思っていることでも一回やってみるのもありかも。大きな目標に対して1歩目を踏み出すのってすごく勇気がいると思うんですが、小さい目標だったら行けそうな気がします。目標は小さくていいので、行動が大事だと思います。私自身1歩下がることもありますけどね(笑)

 

澤田朱夏さん、取材へのご協力本当にありがとうございました!

 

今回の取材内容以外にも、色んなお話をお伺いしました。そちらの楽しい取材の様子も、番外編としてHarForの公式Xで順次公開しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

次回、朱夏さんはどんなゲストにバトンを渡してくれるのでしょうか。お楽しみに!

 

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(インタビュー:HarFor笹村・窪川)