~ HarFor Breaking Interview#05 毛利製麺株式会社 代表取締役 毛利仁人さん~
HarForがオフィスを構える高知で、解決できる課題、実現できる未来は一体なんなのか。高知を一緒に盛り上げていく素敵な方々からお話を伺うインタビューシリーズ、「HarFor Breaking Interview」。HarForが大切にする「つながり」をテーマに、ゲストのご縁を繋げていくリレー企画です。
前回に引き続き、今回も四万十市でうどんの製麺所を経営する、毛利製麺株式会社・代表取締役の毛利仁人(もうりよしと)さんにインタビュー!後編では一体どんなお話が聞けるのでしょうか?

~プロフィール~
四万十市(旧西土佐村)出身。
高校卒業後上京し、会社員を経て1998年、24歳で独立。
「株式会社カツマジャパン」を立ち上げ、アロエを使った商品の営業業務に従事する。
その後2000年、26歳の時に地元のうどん製麺業を受け継ぎ、
業務用冷凍うどんの製造販売を始める。
(インタビュアー)前編では、これまで歩んできた道のりを中心にお話いただきましたが、「毛利製麺」というお名前には、いつ頃なったんでしょうか?
(毛利さん)実は、「毛利製麵」という名前になってからまだ3年ほどしか経っていません。事業の拡大に伴い、「カツマジャパン」から最終的に「毛利製麺」になりました。
名前を変えた理由は大きく二つあります。まず展示会や商談会に参加する際、「カツマジャパン」だと、何をしている会社なのか分かりづらかったので、製麺に特化した名前にした方がいいと考えたからです。
もう一つは自分の名前を背負って、より専門性を感じさせる名前にした方がいいと考えるように なったからです。大手や歴史がある会社などは創業者の名前がついているケースが多いですよね。それが老舗感を醸し出しているというか。専門性が増してお客様が「昔からやっている会社 だろう」と自然に思ってくれることを狙いました。
あと、これは狙っていたことではないですが、「毛利製麵」という名前は画数がすごくいいんです!他の案も色々ありましたが、その中でも一番良かったんですよね。
(インタビュアー)なんだか運命的ですね!(笑)
(毛利さん)もちろん名前を変えると色々変えなきゃいけないので周りからは「名前を変えることで何か意味があるの?」なんて言われることもありました。先ほどもお話したように、弊社は営業も広告も、ほとんどしません。だから、相手から来てもらう必要があります。お客様に「良いものを作ってくれる会社なんだ」と思って頂かないといけないんです。相手や対象となるお客様が「行ってみたい、買いたい」と思って自然に行動するように仕向けていきます。プッシュをしない、これもマーケティングの一つですよね。こちらが意図したものをお客様が選んでくれることが、一番理想的です。

▲四万十だけでなく県内外のお店にも発注される毛利製麺のうどん。
(毛利さん)以前は営業もしていましたが、あんまりしたくはなくて。断られたくないですからね(笑) それが、相手からの依頼であれば、断られる率は低くなります。うちでは「サンプルを送ってほしい」と頼まれるパターンが多いですが、値段や品質が先方の要望と合わないことももちろんあります。ですが、それは仕方ないことだと割り切ることができます。大切なのはどうすれば相手から「ください」と言ってもらえるかです。
(インタビュアー)私たちもマーケティングのお仕事をしているので、考えさせられますね。
(毛利さん)ジェームズ・スキナーさんという方の「コミュニケーションというのは、自分がどう伝えるかではなくて相手がどう受け取るか」という言葉を意識しています。相手にどう思わせるかでこちらの印象が変わってきますが、自分がどう伝えたかだけを考えても、相手に伝わっていなければコミュニケーションは成立していません。こちらが1といっても相手が2と受け取ったなら、それは成立してないんです。だから、自分の意図を相手に良いほうに変換してもらうのが大事です。飲食店などでも、店の名前や雰囲気で勝手に「ここいいな」って思ったりするでしょう。
先にいいイメージが与えられると、実際に会ったときにプラスの印象を持ってもらえるので、その点が大事だと思います。
(インタビュアー)そういえば、毛利さんは「高知県スポーツツーリズムアドバイザー」なども務められていますよね?
(毛利さん)はい(笑)2012年ごろに、趣味で自転車を始めたんです。その時ちょうど高知県や愛 媛県で「自転車で観光しよう!」という動きが始まって。仕事柄、情報発信を色々としていたので、四万十の地域でそういったことをしている人はいないかということでそこからお声がかかり、イベントに呼ばれるようになりました。別に自転車のプロでそれで仕事をしていたからとか、何か免許があるからとか、そういう訳では一切ないです(笑)

▲趣味のツーリングを通じて観光のお仕事にも従事。
(インタビュアー)お仕事と趣味がつながったんですね!
(毛利さん)結果的にそうなりましたね。あと、当時は糖質制限ダイエットというのが流行っていたので、「私は毎日うどんを食べても健康的です!」というところを、流行に乗っている人たちに見せたいという思いもありました。炭水化物バリバリのうどんを取り扱う会社の社長である自分が不健康そうな見た目だったら、「やっぱりね」と思われちゃいますよね。そういった裏テーマもありました。何でもそうかもしれませんが、趣味だけでやるのではなく、何かそれが仕事に繋がらないかな、人といい形で繋がれないかなといつも考えています。そしてこの後、今度はランニングを始めます。
(インタビュアー)ランニングに!(笑)
(毛利さん)ツーリングは冬寒くて(笑)それに、いざ空き時間にやろうとしても、防寒対策など、結構色んな準備をする必要があって大変です。あと、自転車は値段が高いので、なかなか仲間も作りにくいんですよね。それでちょうど四万十で開催されている「四万十ウルトラマラソン」を目標 に、ランニングを始めました。やってみて分かったのは、ツーリング人口より圧倒的にランニング人口の方が多いことです。ここで私は、どっちの人たちに向かって発信した方がより効果的なのか考えました。
(インタビュアー)それは面白いですね。
(毛利さん)もちろん楽しいからやっているというのは大きいですよ。ランニングの方が仲間も多く なるし、スニーカーさえあれば気軽にできますから。ただ、自分は元々企画とかをするのが好きなんです。ランニングをしているときも、みんなで走った方が面白いんじゃないかとか、毎回同じコー スをぐるぐる走るのはつまんないから、次はこっちを走ってみようとか、例えば、ゴールでバーベキューをする目的で走るのはどうだろう?と考えてみたり。みんな「楽しそう!」と喜んで参加してくれて、その様子をSNSなどにアップして発信すると、「楽しそうだから参加してみたい!」とまた 仲間が増えていくんです。それが嬉しくて!
人を楽しませるのが好きですね。何事も楽しみながらやりたいです。ランニングをしながら、別のジャンルの企画も立ち上げて一緒にやるというのは珍しいみたいですが、ランニングって結構しんどいトレーニングでもあるので、目的を持ってもっと楽しめるものにしたいなという思いがありました。

▲仲間たちと一緒にマラソンに挑む毛利さん。
(インタビュアー)なんだか、ランニングからうどんにも繋がっていきそうですね…。
(毛利さん)そうですね!そこでランニングから派生して次に始めた「登山」では、これまで培ったノウハウを活かし、「お山deうどん」という、山の上で本格うどんを楽しむ小さなイベントを企画しました。登山になると、普段運動はしないけど何かちょっとやってみたいという思いはあるという人まで、本気の人たちだけでなく、広い範囲の人が参加できるんですよね。山の上までは自分たちが 調理に必要な機材や食材などを準備して持っていき、本格的なうどんを提供しました。その場にたまたま居合わせたプロの登山家たちも結構びっくりしていましたね。山用の小さなものではなく、普通の大きなカセットコンロを取り出して本格的な煮込みうどんなどを作り始めたもんですから(笑) そういった企画は、自分たちにしかできないことだなと改めて思いました。育ってきた地元地域には 何か貢献したいという思いは強くあるので、そういった部分で自分のノウハウを提供したり、何か別に必要な能力を持った人材を集めたりして、自分なりに地元愛を形にしていっています。

▲スポーツと食を繋ぎ、ほかにない新しい体験を企画した「お山deうどん」の様子。
(インタビュアー)では、そういった企画をするときに意識されていることはありますか?
(毛利さん)関わる人が楽しめるか、誰かの負担が大きすぎないかを意識します。また、動いてくれる人にちゃんと利益が分配される仕組みが大事だと思っています。仕組みがしっかりしている と、立ち位置が明確になり、みんなが安心して仕事ができるようになります。ボランティアも素晴らしいですが、日当を払ったり、プロジェクトの場合は予算をしっかり準備したり、利益を分ける仕組みがないと、継続することは難しいと思います。
また、会社として利益が出ないと動けないという前提はありますが、利益は後でついてくるものだということも意識していますね。最初はそんなの綺麗ごとだと思っていましたが、実際にやってみて納得しました。色々な勉強会に参加しますが、その中でいつも考えているのは、「うちのサービスや商品を多くの人に提供できればみんな幸せになる、そのためにどうしたらお客様が食べやすいと思えるものを提供できるのか」ということです。ここでもし、自分の利益やカリスマ性を追い求めてしまうと、商品の価値を過大に見せようとしてしまいます。表面上は魅力的に思われるかもしれませんが、本当に価値を理解している人にはすぐに見抜かれてしまいます。 私たちは、うどんやお店をできるだけ多くの人に楽しんでもらいたいと思っていますが、需要が大 きくなったとしても、それに応えようと不完全な状態で店舗を増やすと、結果として品質が落ちてしまいます。悪い情報はすぐに広がってしまうので、慎重に進める必要があります。そこが上手くできる人は逆に、どんどん拡大させられると思いますが、自分はそこが上手くないので、目の届く範囲で慎重にやっています。

▲毛利さんのプロフェッショナルな姿勢は、
楽しむことだけでなく様々な状況に対する準備や気配りが感じられました。
(インタビュアー)高知県内の事業の拡大についてはどう見られていますか?
(毛利さん)県内事業の多くは拡大しなくても、地域レベルの規模で上手くやっていけると思っています。そもそもそんなに市場が広くなく、他県からも遠いので、安易に県外に進出することはできませんよね。それでも、高知ならではの文化があるので、私はそのままでいいと思っています。無理に拡大しようとすると、多くの人を不幸にすることもありますから。それで失敗してしまった企業も、実際にいくつか見てきました。自分に見合わない力量の拡大は、そこに携わる従業員の人や、お金を出してくれた銀行、投資家などを不幸にします。だから、自分ができる範囲をある程度考えながらやらないといけないと思います。
もちろん、もっと大きなチャレンジをしたい気持ちも分かりますよ。でも、例えば登山で自分の技量がないのにエベレストに挑戦するのは無理な話ですよね?だから、少しずつトレーニングすれば行けるところを目指すとか、自分の力量の中でやることが大事です。「内に収まれ」という意味ではないですよ。今の自分からの成長を計算して、計画的にチャレンジしていくことが大切です。
(インタビュアー)自分をよく見極めることが大事なんですね。
HarForではそういった目標達成のために「自由な働き方」も重要視しているのですが、毛利さんにとっての「自由な働き方」とはどのようなものでしょうか?
(毛利さん)多くの人が思う「自由な働き方」というのは、時間やお金に制約されないことだと思います。実際、経営者や上場企業の社長も時間やお金の制約はついて回るものです。ある社長が 「誰かのために使えるお金と時間がある状態が理想」と言っていて、それが本当に大切だと感じました。例えば、離れている友人の結婚式に出席したり、誕生日会を企画して参加できるなど、そういったことをやってあげられる状態を生み出せる働き方こそ、「自由な働き方」といえるのではないでしょうか。小さなことですが、そういった自由が大切だと思います。
そこが「信頼」と「信用」に繋がります。この2つは簡単に築けるものではありませんが、築くことが できれば「この人となら大丈夫だろう」、「この人と一緒だったら楽しいことをやってくれるだろう」と多くの人に安心と期待を持ってもらえます。しかし、日頃のちょっとした行いなどで、一瞬で崩れてしまうので注意です。打算的な話などをしてしまうと、能力はあっても「面倒だな」と思われて一瞬でこの二つを失います。

▲「信用」と「信頼」を築くためには、日々のちょっとした行動が大きな役割を果たすと教えてくださいました。
(インタビュアー)様々な活動に繋がっていっているのは、周りの人から毛利さんに対して「信用」と 「信頼」があるからこそなんですね。
(毛利さん)本当にありがたいことです。そのおかげで人を紹介してもらうこともありますが、すべての紹介先が上手くいくわけではありません。そういう時は、恋愛関係と同じで、別れ際にうまく対応することが大事です。今回はダメだったけど、別に嫌いになったわけではないという状態を作ることがポイントです。このポイントを押さえておくと、その後関わることはなくても、変な噂が立つこともありません。悪い噂が広まると、その後の対応が大変ですから。
よく人脈が大事だと言いますが、私は直感で、「この人だ」と思う人としか関わりません。お話してみて違うなと思ったら、うまくかわすようにしています。「この人の紹介だから無碍にするのもよく ないな」と思うこともありますが、最近は第一印象を大切にしています。それが結果的に役に立っているなと感じますね。
(インタビュアー)直感が強いタイプなんですね。
(毛利さん)というか、ほとんど直感で決めています(笑)だからこそ、逆に自分自身も相手に直感で嫌な印象を与えないように、服装や身だしなみには気を使っています。もし私がものすごい金髪で登場したりしたら、イメージが全然違ってくるでしょう?
(インタビュアー)確かに(笑)
(毛利さん)同じ話し方をしていても最初の印象が全く異なりますよね。与えたくない印象が先行してしまうと、内容が伝わりづらくなることがあります。だから、私はできるだけニュートラルな状態で接するよう心がけています。
印象によって壁ができると、相手が深く話を聞いてくれなかったり、逆に意図が伝わらなかったりします。もし最初に不適切な印象を与えてしまった場合、それを修正するのはなかなか難しいですよね。直感的に「この人は違うな」と感じてしまう部分はあるかもしれません。仮にそれが外れている場合は、自分の責任として受け止めています。
(インタビュアー)最後に、高知でこれから展開していきたい目標を教えてください。
(毛利さん)自分たちがこれまでにやってきた地域の「食」や「スポーツ」などを通じた企画のビジネスモデルは、他の地域でも同じように展開できるものだと考えています。例えば道の駅などで、食とスポーツのイベントを一緒に開催する企画をしてみたいと思っています。四万十に限らず、色んな地方地域でイベントが開催できる仕組みを展開していきたいです!
また、今は英語のECサイトを作成しており、海外の方にもわかりやすく、一目で理解できるサイト を目指しています。うちの商品は冷凍うどんで、比較的輸出に向いています。「日本食はいい!」 というイメージが海外で広がっており、旅行で日本のうどんを食べて美味しかったと、帰国後に広めてくれる方も多いです。なので、まずは英語から、徐々に多言語化していきたいです。そして商 品を広めるために自分も海外に行きたいと思っています(笑)
(インタビュアー)高知から全国、そして世界へ!ですね。

▲地域の特産を活かしたビジネスモデルを、国内外に広げていく毛利さんの挑戦を今後も応援していきたいですね。
今回も前編・後編に分けてのインタビューでしたが、いかがでしたでしょうか?
取材内容以外にも、色んなお話をお聞きできました。そちらの楽しい取材の様子も、番外編として HarForの公式Xで順次公開しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
毛利さん、取材へのご協力本当にありがとうございました!
次回、毛利さんはどんなゲストにバトンを渡してくれるのでしょうか。お楽しみに!
◆中小企業を成功に導くBtoBデジタルマーケティングの解説はこちら
◆日本のデジタルマーケティングの展望についてはこちら
◆BtoBデジタルマーケティング施策を行うHarForへのお問い合わせはこちら
◆前回の記事はこちら
(インタビュー・写真:HarFor広報担当)