~ HarFor Breaking Interview#04 宿毛コンシェルジュ 谷口 麻耶さん ~
HarForがオフィスを構える高知で、解決できる課題、実現できる未来は一体なんなのか。高知を一緒に盛り上げていく素敵な方々からお話を伺うインタビューシリーズ、「HarFor Breaking Interview」。HarForが大切にする「つながり」をテーマに、ゲストのご縁をつなげていくリレー企画です。
前回に引き続き、今回も高知県の最西端・宿毛市で「宿毛コンシェルジュ」として活動されている谷口麻耶(たにぐち まや)さんにインタビュー!
前編では、宿毛の歴史や偉人たちが大好きな谷口さんが、なぜ今のお仕事を始めることになったのかというきっかけや、お仕事について大事にしていることなどを詳しくお伺いしましたが、後編ではいったいどんなお話が聞けるのでしょうか?
~谷口 麻耶さんProfile~
1980年、高知県宿毛市出身。
高校を卒業後、小売業を経て旅行会社に勤務したのち
旅先で出会った偉人に衝撃を受け観光ガイドの道へ。
3児の母として子育てをしながら、「宿毛コンシェルジュ」として独立。
(インタビュアー)前編ではECでの販売やSNS運用など、デジタルの分野にも積極的に取り組んでいるというお話をお伺いしました。高知県のデジタルの普及についてはどう思いますか?
(谷口さん)事業者さんの規模によって差があると思います。
HarForのように、リスキリングを行い、完全にデジタルな事業を取り扱っているという企業もありますが、県全体ではまだそういった企業は少ないですね。高知県には中小企業どころか、それよりも規模が小さい、家族経営などの小企業が多いということが要因だと思います。デジタルに関する慣れや知識の底上げを全体的に行うのはとても難しいので、時間がかかると思いますが、やらなきゃいけないことではありますよね。
私がわざわざガイドとは相反するデジタルに手を伸ばしているのは、「子供に背中を見せる」ためです。私たちの世代にはなかったものが、子供の時代では社会の中で普通に生活していくために必要不可欠です。私が子供の頃、特に宿毛では、テレビでしか情報を得られませんでした。選べる職種は目で見たものしかなく、学校の募集の棚にある仕事や、農家・美容師などが主でした。半分くらいのご家庭は卒業してすぐ就職しなければいけませんでしたしね。でも、世の中にはありとあらゆる仕事があります。だからこそ、子供には気づいてもらいたいんです。都会でなくても「そういえばうちの母ちゃんはパソコンを使って色々仕事をしていたな」という記憶が子供の中に植えつけられたら、子供の選択肢も増えていくと思います。
また、このコロナ禍でオンラインの道に入った時、起業の垣根は低くてもいいんだと思いました。だから子供には「別に宿毛でもできるんじゃない?」と思ってもらいたい。私の根本には宿毛を元気にしたい、つまり、町がにぎわってほしいという思いがありますが、それにはやっぱり人の集いがいるんですよね。なので、デジタル化によって宿毛に残ってくれる人や帰ってきてくれる人が今後増えたらいいなと思っています。
取り組む仕事は一見バラバラに見えるかもしれませんが、全て地域の活性化や宿毛の元気に繋がっています。

▲子供たちに広がる未来の選択肢について熱く語ってくださいました。
(谷口さん)宿毛の方では先駆けだと思いますが、人生を通して1つの仕事で終わる人もだんだん少なくなってきていますよね。脱サラして農家になるということは、びっくりするくらい普通になってきています。私みたいなタイプはまだまだ珍しいと思いますが、それでも少しずつ増えてきているとも思います。やりたいことをやれていくっていうことが当たり前になってきていると感じますね。
(インタビュアー)逆に、今大変だと思うことは何でしょうか?
(谷口さん)デジタルを使うからこその問題ですが、24時間終わりがないというところですね!良くも悪くもずっとできてしまいます。19時以降は仕事はしない!と決めたらいいのに、完璧主義の私がつい芽を出して、後回しにしても怒られないことをやってしまいます。そうすると子供からすれば、仕事をするのもゲームしたりYouTube見たりするのも同じ、スマホを使っているので、それが仕事をしているとは分からず、自分のことを見てくれていないと感じさせてしまっています。
(インタビュアー)子供さんの気持ちもすごくわかりますが…。中々難しい部分ですよね。
(谷口さん)私の中にあるいい母親像と、子供に寂しい思いをさせてしまっている現実の自分とのギャップに葛藤させられて、すごく苦しくなります。なので、少しだけ考え方を変えました。「波があっていいじゃないか」と。いつだっていいお母さんは無理です。いいお母さんを演じるために、自分のやりたいことを抑えてしまうと、自分自身も爆発しかねません。そうなると結局子供にも当たってしまったりします。なので、頑張るとき頑張らせてね、というようなバランスを取るようにしました。
(インタビュアー)なるほど。
(谷口さん)頑張っていると負担をかけてしまうのは、主人も同じですね。男女平等のような声もあると思いますが、やっぱり男性と女性でそれぞれ得意なことや苦手なことは違います。男性が外で働くエネルギーは女性にはないものがありますし、逆に女性は分散して仕事ができますが男性はできなかったりしますよね。そこはできる側が配慮して、私の仕事が溜まっていたら夫に家事をしてもらったり、その逆だったり、バランスを考えながらですね。

▲デジタル時代の挑戦と家族の調和を図りながら、地域活性化に尽力する姿が印象的でした。
(インタビュアー)それでは、谷口さんにとっての自由な働き方とは一体何でしょうか?
(谷口さん)その答えは…子供に委ねます(笑)今は自由な働き方だと思ってやっているけど、子供が成長する過程で手が付けられなくなることもあるかもしれないし、「あの時にやったことが正しかったか?」と後になって思うかもしれません。別に、ずっとパートや正社員でいるという選択が悪いことではないと思います。それぞれの選択はその人にとって価値あるものなんです。ただ、私の場合は変化に飛びつきたい!「変化」と「行動」は私にとって重要なキーワードです。子供たちに自分の背中を見せるのは、そうやってやりたいことをやってほしいからなんだと思います。
最近、子供たちをよく旅行に連れて行き、おもちゃではまった新幹線の本物を見せたり、実際に乗せたりするんです。宿毛にいると、新幹線を目にする機会はほとんどないので、新幹線の運転手になりたいと思っても、実際は中学生くらいであきらめてしまうというようなことが多いと思います。でも、自分の行動次第で夢は叶うんだということに気づいてほしくて。そこで諦めてほしくないんです。子供たちに実際の新幹線を見せると、「うぉーっ」と声を出して、心の底からすごく感動します。これが大人になると言えないんですよね。でもこの子供時代にしか味わえない「うぉーっ」という感覚が大事だと思うんです。
他にも、子供たちにはゲーム機を持たせていません。小学校のうちに土の匂いや草の匂い、田んぼの稲刈りの匂いとか、そういった自然のものから得られる第六感的な感覚を養ってほしいんです。大人になった私たちには味わえませんから。そうやって得た感覚が子供自身のベースとなり、帰ってこられる場所になります。
子供たちには、自分で自分の中にそういった経験を貯めていってほしいです。それが、彼らの強みになり、支えになると思います。そして、それがあってこその「デジタル」であり、「自由」だと思います。

▲(写真左)本物の新幹線を見て興奮する子どもたちの様子(写真右)海辺で貝殻を拾う子どもたちの様子
(インタビュアー)HarForが目指す「自由な働き方」の根本にも繋がりそうです。
(谷口さん)HarForさんが推進しているようなこれからの新しい働き方は、勇気をもらえます。まだまだ私のような働き方は個人でされている方の方が多いですが、それを組織の中でできる限りやってくれるのはすごくいいですよね。
実は松下幸之助がすごく好きなのですが、彼がこれから女性の社会進出が増えていくという話をしたときに「だけど、女性にしかできないことというのがあるんです。それは大事にしてほしいです。」とも言っていました。それって「出産」と「子育て」のことなんですよね。やっぱりそれが無くなると、日本の力も無くなってきます。それらが苦なくできて続けられるという環境が、高知県にも増えていったらいいなと思います。
(インタビュアー)谷口さん自身が高知でやっていきたいことはありますか?
(谷口さん)2つあります。まずは子供の教育において、「視点・視野・視座」を高めるためのキッズマルシェの開催です。それも、ただ開催当日に出店してもらうだけではなく、お金の勉強から始めてもらいます。今流行りの「金融リテラシー」を高めるという企画です。
ちょうど私たち親世代って、貯金をしなさいと口酸っぱく言われて育てられてきた世代です。なので、みんな資産を作るというと貯金をすることだと思っている人が多いです。でも今はなかなか貯金だけでは増えていかないですよね。増やしたり、活かしたり、働いてもらったりと、お金には色んな使い方があるので、それを子供たちにまず知ってもらいたいです。そして、親自体も投資のことを知らない人が多いので、子供たちの投資家になってもらうことで「投資」について学んでもらいたいと思っています。子供は親が投資してくれたお金を使ってマルシェに参加し、商売をして儲けを出してもらいます。いくら出資してもらって、そこからいくら材料費に使って、いくら売れて、何%資本家に返さなければならないのか。そういった商売にまつわる一連の流れを、キッズマルシェを通して教えたいですね。
(インタビュアー)そういった部分って、学校でも中々教えてもらえませんもんね。
▲谷口さん独自の教育に対する視点に魅了されました。
(谷口さん)そうですよね。実はこれを思い当たる前に、自分の子供たちに似たようなことをさせたことがありました。
彼らは蟹が大好きなのですが、蟹ってすごく高いですよね…。でも頻繁に食べたい、買ってほしいと言うもんだから、「自分でお金を稼いで買いなさい!」と言ったのがきっかけで、自分が稼ぐ方法って何だろうと考えるところから始め、実際に商売を一緒にやってみました。お金をかけずに貝殻入りの小瓶を作って、私が地域のマルシェに出店する機会があった際に一緒に隣で1本300円くらいで売らせてみたんです。1年半くらい続け、蟹を食べるための目標金額を子供たち自身で稼ぎ出しました!そのお金で実際に蟹を食べることができたんです!
(インタビュアー)すごいですね!
(谷口さん)その時に気づいたのが、誕生日やクリスマスなど、当たり前に親が買い与えて欲しいものを手に入れる瞬間と比べ、自分たちで何とか稼いだお金で手に入れる瞬間の子供たちの顔は、全然違うということです。
そしてもう一つ、自分が自分の価値を子供に押し付けようとしていたということにも気づきました。子供たちが壊れたおもちゃを考えられないような高値で売ろうとしてびっくりしたんですが、子供の目線から見ると欲しいものなんですよね。さすがに半額にさせましたが、売れました。親ってついつい子供のためと思って色々口を出してしまうと思うのですが、そこからは子供に口出ししなくなりました。売れようが売れまいが、子供の経験です。失敗したら失敗したで、子供は学習します。でも意外と、成功したり(笑)
時代の移り変わりが早いからこそ、自分たちが思っている価値は子供たちと同じものではないということを、いい意味で学べると思います。結局、価値があるかどうかを定めるのは、お客さんが持っている視点です。そんな経験を、親子でしてもらいたいなと思っています。
▲子供たちが壊れたおもちゃや貝殻を詰めた小瓶を売る「幸福な商店」
(インタビュアー)大人も子供も、視野・視座・視点を高めることは本当に大切ですね。
それでは、もう1つのやりたいことはなんでしょうか?
(谷口さん)宿毛の偉人である竹内明太郎の歴史の映像化です。明太郎さんは重機で有名な「コマツ」という会社の創業者で、とてもドラマチックで面白い人生を歩まれた方です。活動も多岐に渡り、政治や、教育面にも尽力しています。ご家族もみんなすごい人たちで、お父さんは先ほどご紹介した竹内綱、弟はあの吉田茂元首相です。ネタには困りません(笑)
今ある宿毛の偉人の本は50年前に書かれたもので古く、文章が難しくて読めなかったりするので、宿毛や宿毛の偉人にまつわる本を書いてみたいという思いは前々からありました。去年11月にコマツが本拠地とする石川県小松市と宿毛市が姉妹都市協定を結んだご縁をきっかけに、もっと分かりやすくて人柄も見えるような、竹内さんの本を作りたいなと思うようになりました。ガイドの時に史実を自分自身の言葉でかみ砕いたものをお客さんにストーリーとして話すと、みんな面白いと言ってくれるので、まずは人柄を伝えるための本を作りたいです。
映像化に関しては、自分ひとりのやりたいことというより、宿毛市と小松市のみんなの夢として実現してほしいなと思っている夢ですね(笑)
▲地元の歴史と文化を次世代に伝えたいという思いが伝わりました。
(インタビュアー)なんだか実現しそうな気がします!
夢を実現しようとする行動力の塊のような谷口さんですが、これから夢を実現しようと頑張っている方に何かアドバイスはありますか?
(谷口さん)ありきたりですが、「まずはやってみる」を実践してみてほしいですね。できれば、というかむしろ小さなことから、本当にどんなことでもいいのでやってみてほしいです。明治の、宿毛から高知まで4〜5日かかっていた時代に、日本を変えようとした偉人達もたくさんいます。だから、機会や環境の問題ではありません。
自分からぜひ一歩を踏み出して、行動してみてください。
今回は前編・後編に分けてのインタビューでしたが、いかがでしたでしょうか?
取材内容以外にも、色んなお話をお聞きできました。そちらの楽しい取材の様子も、番外編としてHarForの公式Xで順次公開しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
谷口さん、取材へのご協力本当にありがとうございました!
次回、谷口さんはどんなゲストにバトンを渡してくれるのでしょうか。お楽しみに!
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(インタビュー・写真:HarFor広報担当)