近年注目されている生成AI。その革新性を活かした技術で日々人々を手助けしています。そんな生成AIですが、各ツールの種類や正しい指示の仕方を学ぶことでより効果を発揮できます。
以下では、生成AIの基本から種類、やり方、危険性等を詳しく解説していきます。
1 生成AI(ジェネレーティブAI)とは
1-1生成AIについて
生成AI(セイセイエーアイ)とは、英語で生成的人工知能を意味するGenerativeAI(ジェネレーティブエーアイ)とも言われます。
利用者の質問や指示に基づいて会話、ストーリー、画像、動画、音楽などの新しいアイデアを生み出すことができる人工知能です。人工知能は英語でArtificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)と言い、AIはその略語です。
1-2従来のAIとの違い
従来のAIに使用されていた機械学習では「教師あり学習」と呼ばれる手法が一般的でした。
「教師あり学習」とはあらかじめ人間がAIに対し明確な回答を用意し、AIはその回答を記憶し知識とすることで予測できるという仕組みです。そこで必要なのが教師データです。教師データとは「例題」と「正解」がペアになっているものを指します。たとえば「(博物館の)入場料を知りたい」という質問の場合、以下のように多様な聞き方が予想できます。
・料金を知りたい
・入場料金はいくら?
・入館料 何円 ……等々
これらを作成したQ&Aに紐づけていき、AIに学習をさせます。必ず人間が質問を予想し、ある程度の教師データを作成しておく必要があります。
しかし、ディープラーニング(深層学習)を活用することにより、AIは自ら学習を重ねられるようになりました。あらかじめ学習データを与えずともAI自身がオリジナルコンテンツを生み出せるようになったのです。これが「生成AI」誕生の経緯です。
従来のAIは「学習済みのデータの中から適切な回答を探して提示する性質」を持っていましたが、生成AIは「0から1を生み出す」性質が特徴です。既存の学習データを参考に予測した答えを返すのではなく、AI自身が自ら学習し続け、人間が与えていない情報やデータさえも記憶し、新たに創出したアイディアを人間に還元することができます。
これまで0から1を生み出す作業は人間にしかできないものでしたが、生成AIの登場によって従来よりもさらに創造性の高い作業が自動化できるようになりました。
2 生成AIでの可不可について
2-1可能なこと
1.テキスト生成
「〇〇について200文字で説明してください。」等の指示を受け自動でのテキスト生成が可能です。長文の要約やキャッチコピーのアイデア創出、挨拶文の作成やプログラミングのコード生成などさまざまな作業の時間短縮が可能です。
2.画像生成
文章で指示するだけで、イメージに近いオリジナル画像の生成が可能です。
3.動画生成
動画生成AIはAIの中でも開発の難易度が高いですが、それでも短時間であれば文章で指示したイメージに近い動画を生成することができます。
4.音声生成
音声入力やテキスト入力によって新たな音声を生成するAIです。たとえば、ある一人の声を大量に学習させると、その人の声質と全く同じ声で、さまざまな文章を自由に話す音声を生成することが可能になります。
2-2不可能なこと
1.感情の理解・表現
人間のように感情を理解し、表現することはできません。データから規則性を見つけて感情を予測することはできるかもしれませんが、実際に感情を抱くことはありません。
2.創造性・直感
オリジナルのコンテンツを生成することは可能ですが、人間のように創造性や直感を持たないため、その場の状況に柔軟に対応することができません。時に矛盾したコンテンツを生み出す場合もあります。
3.倫理的・道徳的な意思決定
感情がないため、倫理的または道徳的な判断を行うこともできず、それに関わるタスクの処理は困難と言えます。
3.主な生成AIツール10選
3-1テキスト生成におすすめのAI
ChatGPT(チャットジーピーティー)
ここではOpenAI社の2種類のChatGPTをご紹介いたします。
- ChatGPT4o
複数の種類のデータを統合して処理する深層学習を完全に実現したChatGPT4の改良版です。
高速な応対でリアルタイムに近い返答が可能なことに加え、音声による入力、応答も実現しました。
専門性の低い一般的な質問に向いています。
- ChatGPTo1-preview
優れた推論能力を持ち、複雑な問題に特化して精度の高い返答が可能なことが特徴です。
コーディングや数学的な難しいものに向いています。
しかし、返答速度はChatGPT4oよりも遅いため、答えが画一的に決まる問題であれば、4oの方が向いています。また、同日リリースされたChatGPTo1-minはより安価でコーディングに特化したモデルとなっています。
- Gemini(ジェミニ)
Google社製で複数のモデルが提供されているGemini。
複数のモデル、特に小型化モデルがあることが特徴です。例えばGemini Nanoは、スマートフォン(特にGoogle Pixel 8 Pro)での使用を想定して作られています。
- Gemma2(ジェマ2)
Google社製でテキスト生成に特化しています。
モデルのサイズが小さく高精度です。小型化が進んだことにより、スマートフォン等でも実行でき、これまでのサーバーに送る手間等が省けるようになる可能性が高いです。
- Claude3.5(クロード3.5)
高精度でChatCPT4を超える返答が可能とも言われています。Artifacts機能(成果物プレビュー)が搭載されているため、対話をしながらコンテンツをリアルタイムで生成し、コンテンツの編集が可能です。
プレゼンテーション資料、フローチャート作成の他、ゲーム作成やアニメーション動画を作る際などにおすすめです。
3-2画像生成におすすめのAI
ほとんど実写と同じような画像が生成可能になり、精度も極めて高いです。
現時点ではほとんどのツールで英語での質問や指示を与える必要がありますが、テキスト生成AIに指示文作りをさせることで誰でも使用可能です。
- stable diffusion3(ステーブル・ディフュージョン3)
初心者でも可能なテキスト形式で指示をして画像を生成できる画像生成AIの代表格ともいえるモデルです。
- Imagen3(イマジン3)
Google社製でimageFXで無料で出力できるので手軽です。
女性の画像が極めて出力させづらいなど、プロンプト規制が強化されています。
※プロンプトとはユーザーが入力する指示や質問のこと
- FLUX1.1(フラックス)
特に人物の生成が得意で、人体の骨格的に違和感のある画像が少ないです。
3-3動画生成におすすめのAI
短時間であればプロンプトで動画を生成することが可能なものも登場しています。
- Runway(ランウェイ)
映像を細かく調節できることが特徴です。
MotionBrush技術で画像を動画に変換することも可能です。
- Movie Gen(ムービー・ジェン)
Meta社製でテキストから動画・音声を生成できます。
サンプル動画も多数公開されており、今後が注目されています。
4.生成AIの基本的なやり方
人に何かを頼むとき、その目的と何をしてほしいのかを具体的に伝える必要があります。同じように、生成AIにも正しく理解してもらえるよう説明し指示することで欲しい回答やアイデアを引き出せます。
ポイントは大きく分けて3つです。
①役割を与える
生成AIは指定した人物像になりきった回答が可能です。
AIに役割を与えることで、回答を生成するための視点や専門性を調節できます。
②任務を詳細に伝える
「文章を作成してほしい」「分析してほしい」など、生成AIに何をしてもらいたいか具体的に伝えることが大切です。
また、「〇〇しないでください」よりも「〇〇してください」と指示する方が精度が高まります。
③制約条件を付ける
任務の指示のみでは情報が不十分な場合もある為、「200文字以内で」、「10案考えて」など細かい条件を指定することで精度が高まります。
3つのポイントを押さえて整理しつつ指示することで、生成AIに任務の内容や求める応答品質が伝わりやすくなり、生成物の完成度が高まります。
以下は3つのポイントを押さえた指示例です。
①役割
あなたはプロの[コピーライター]です。
②任務
以下の制約条件から[男性用日焼け止めの販促コピー]を考えてください。
③制約条件
<条件1>男性にささりやすい表現を行う
<条件2>20文字以内で10案考える
このように3つの要素「役割」「タスク」「制約条件」に分けて箇条書きにするのも1つの方法です。
さらに「~しろ」などという命令調よりも「~してください」のような丁寧語や敬語を使って書くと、より質の高い回答が返ってくる傾向が見られます。
一度の指示で自分の望む回答を得ようとするのではなく、返答のあった生成物に対し、「もう少しくだけた文体にしてください。」など追加で指示や修正をしていくうちにより求めているものに近づきます。
5.現状課題と危険性
生成AIには事実の真偽性、著作権問題、情報漏洩やセキュリティリスクなどの課題や危険性もあります。生成AIから出力される情報は必ずしも正確とは限りません。特にChatGPTの無料版は2021年9月までのデータに基づいていることを留意しておく必要があります。また、著作権を侵害する恐れもあり、著名な作品を基に生成物が作られることにより問題となる場合もあります。
さらに、個人情報をAIに入力すると、情報漏洩やセキュリティ上の懸念が生じ、他のユーザーに記録された情報が表示されるリスクがあるため、注意が必要です。
生成AIは決して万能なわけではありません。また、それぞれの生成AIによって得意分野も異なります。
2章にてお伝えした可不可を念頭に置きながら上手に活用し、共存していきましょう。
まとめ
生成AIは専門知識のない人でも容易にコンテンツを作り出すことができ、2022年のチャットGPTの公開以降、世界に急速に普及しました。
しかし、意思決定や創造性等の観点からはまだまだ人には及びません。
特にビジネスにおいては使う側の「人」の能力をかけ合わせることでAIはより効果を発揮します。
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